小さなミツバチですから、一度に集めてくる花の蜜の分量は、たかがしれています。

さらに、その花の蜜を、水分を飛ばして濃縮するわけですから、たくさんの花の蜜を集めてこなければなりません。

そうやって、蜜を集める担当のミツバチは、何度も何度も花と巣との間を飛び回って蜜を集めます。

集めた蜜を巣の中にいるミツバチに口移しで託すと、またすぐに花の蜜を求めて飛び立っていくのです。

蜜を託されたミツバチは、巣穴の一つひとつに、少しずつ丁寧に入れていきます。

そして、巣穴のふちにしっかりとつかまって羽ばたきをし、風を送って蜜の水分を飛ばします。

巣穴の蜜がいっぱいになり、糖分が80％ほどになったと判断すると、ミツバチは、お腹のあたりから分泌されるミツロウで蓋をします。

ミツバチたちは、人間のために蜂蜜を作っているのではありません。

蜂蜜は、ミツバチの大事な食料なのです。

私たちは、小さなミツバチたちがせっせと集め、加工して作り上げた、彼らの食料である蜂蜜を分けていただいているのです。

また、花の蜜から作るのですから、その花が健康でなければ、蜂蜜はもちろん、ミツバチだってちゃんと生きていけません。

そういう意味でも、ミツバチが生きていける環境は、人間にとっても良い環境であるといえるのです。

ニホンミツバチは、環境が悪化すると、巣を捨てて逃げていってしまう性質があり、農薬や自然破壊のない奥山の安全な場所でしか育ちません。

そんな奥山には、同じ花がたくさん咲いているわけではありませんし、セイヨウミツバチとは違い、ニホンミツバチは、様々な花の蜜を集めてくる性質があるのです。

そうやって様々な花の蜜から作られた蜂蜜を「百花蜜」といいます。

大自然の中で生活しているニホミツバチが作る「蜂密」ですから、そのときどきの山の状況や気候などにより、味や色などが違ってきます。

その天然の「蜂密」を守るため、加熱処理をせず、防腐剤などの薬品や薬剤も使っていません。

ミツバチは、花の蜜と同時に花粉も集めてきますから、蜂蜜の中には少量の花粉も混じっていますが、蜂蜜の表面に浮いてきた花粉を取り除くという作業しかしていないので、蜂蜜の中にも存在しています。

この花粉は、蜂蜜と同様に、ミツバチの餌であり、タンパク質やアミノ酸、ビタミン、脂質、ミネラルといった栄養がバランスよく含まれています。

このような貴重な大自然の恵みを家庭でも味わってみてください。